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人と自然をつなぐ家づくり工務店ブログ

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鹿が教えてくれること


先日、五木村の山林で鹿に出会いました。

鹿は軽い足取りで、急な斜面をかけあがり、そのまま逃げていくかと思いきや立ち止まり、

こちらをジッと見つめています。

つぶらな瞳をした、かわいらしい鹿でした。

どうして立ち止まったのか。

もし、出会ったのが銃をもった猟師だったら、打たれてしまったでしょう。

なんだか複雑な気持ちになります。

最近、日本では鹿が急増し、生態系を崩したり、山や里を荒らしたりするので

テレビや新聞などでも鹿や猪を駆除している報道がよくでています。

報道の仕方にっては、鹿や猪、熊などの動物たちが悪者扱いされているものもあります。

これは、ただ単純に、動物が増えた、里山に降りて人や農作物に危害を与える。だから駆除しよう。

という単純な問題ではありません。

今の日本の森の状況を知り、殺されていく命の理由をきちんと知る必要が私たちはあると思います。

人も動物も同じ命です。

あの時、立ち止まった鹿は、私たちに何か伝えたいことがあったのではないかー。

つい、そんなことを考えてしまいました。

とても分かりやすくまとめてある文章がありましたのでご紹介します。

「シカはなぜ増える 」

森とシカと人のかかわりを考える 流域 森林 保全 研究 グル ープ 奥村 栄朗

近年、各地でシカが増えて農作物や植林木の 被害が増え、また場所によっては生態系に悪影 響を与えている、という報道が多くなされてい ます。 そこで、今回はシカが増えている原因を 考えてみたいと思います。

(中略)

皆さんはシカが森の植物を食べて いるので、食物は豊富にあるとお考えでしょう か。

実は、そうではありません。

よく発達して大きな木々が覆っている森林の 中には、光が十分に入らず、柔らかい草や低木 の葉は多くはありません。

シカにとって、一時 的な隠れ場所にはなっても、良いエサ場ではな いのです。 このような森林で時々老 齢の木が倒れたりして林冠に穴が開く(ギャッ プと呼びます)と、そこから光が入って草や若 木が育ってきます。

また、川の流路や山火事跡、 人が切り開いた場所など、森林がとぎれたとこ ろにも草や低木が豊富に育ちます。 シカは成熟 した森林の中ではなく、ギャップや低木林や草 原を生活場所にしているのです。

そして山々の 多くが天然林に覆われていた時代には、そのよ うな生活場所は多くはなかったのです。 ところが、私たちは戦後の経済成長期に天然 林を大面積で伐採し、針葉樹の林に変えてきま した。

若い造林地には草や低木が大量に繁茂し、 年ほどの間、豊富な食物を供給し続けます。

つまり、とても良いエサ場を大面積で作ってし まったのです。

このように人間のもたらした好 条件でシカは個体数を増やしてきました。

やがて人工林が成長し、林冠が閉鎖するよう になると、林内には光が届かなくなり、林床に はほとんど植物のない状態に変わります。

そう なると大面積の人工林は、シカにとって、あた かも砂漠のような場所になってしまいます。

しかも、天敵も大雪の冬もなくなった状況で は、いったん増え始めたシカの数を抑制する要 因がありません。

増え続けるシカは、人工林に エサがないので、人里近くや、あるいはわずか に残された奥山の天然林などにたくさん出てく るようになったのです。

これまで見てきたように、私たちがシカの増 加に困っている状況は、実は過去から現在の人 間活動に対する自然のしっぺ返しなのです。

当 面の被害防除や個体数調整の努力はもちろん必 要ですが、急激な変化を避けながら、いかに森 林や動物を扱っていけばよいのか、過去に学び ながら長期的な視点で考えていくことが重要で あると思います。

荒れた人工林。今の日本の森は、手入れが行き届いていない人工林が多い。

適度に間伐され下草が生える人工林。

自然林


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